愛、シテあげる。*完*
「家族旅行?」


「そう。もうGWに入るし、行きましょ!」




久々に会ったと思ったら、何を言い出すんだ私の母は。


「仕事は?」


あんた一応社長秘書だろう、という気持ちを込めて聞く。


「お仕事のことなら大丈夫!」


グッと親指を立てる。


「昌彦さん、休みだもの!」



「は?」


嫌、そうじゃなくて……;



「昌彦さんじゃなくて、ママは?」


そう聞くと、不思議な顔をされた。


「あら?ママ言ってなかった?」


これだから歳をとるのは嫌ねー、なんて呟く。


「昌彦さんはね、大手企業の社長さんなのよ。ママは昌彦さんの専属秘書ってことなの!」


「えぇっ!社長!?」


「そうよ~。昌彦さんの会社はおっきくてね、シャーペンからロケットまでつくってるのよ!」



嘘ぉぉ!?

確かにそんな風格はあったけれども!

シャーペンからロケットって……凄すぎ。


「じゃあ、蓮って、社長の一人息子ってこと?」


「あら!もう呼び捨てなのね!そう。蓮君は次期社長さんなのよ!」



あの変態が!?


あいつが社長になったら、会社潰れるんじゃ……;



「話を戻すけど…。GW、空けといてねっ♪」


「……;」



ママ、とんでもない人と結婚……じゃなかった。付き合ってるんだ。


そして私は、次期社長と同じ屋根の下に;



「はぁ」


でも、蓮は蓮で、昌彦さんは昌彦さんなんだから。
同じ人間だし、何にも意識することなんて無いよね。




でも、旅行は…。

まさか、とんでもないところに行くんじゃないよね?




せめて国内がいいなぁ。飛行機苦手だし。

はぁ。
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