愛、シテあげる。*完*
キーンコーンカーンコーン…




授業に身が入る訳もなく、気づいたら放課後になっていた。


帰りのHRも終わり、帰宅部の私は、紫と一緒にさっさと帰る仕度をする。


「あ、真央」


「何?」


「ごめんね、今日委員会で長引きそうだから、先に帰っててもらえる?」


「そっか、分かった。頑張ってね」


紫に別れを告げて昇降口に向かう。


委員会かあ。なんか楽しそうだな。

私も委員会とか部活とか入りたいけど……。





ん?




靴箱に着くと、周りが異様に騒いでいることに気付いた。


特に女子の方々が、ケータイを持ってバタバタと外へ走っていく。




なんだろ。


靴を履き替えて外に出た。


頭上からキャーと声が聞こえて、反射的に見上げた。


ベランダに出て騒いでる子までいる…。


まさか飛びおり?

……とも思ったけど、皆明らかに地上を見つめている。


不思議に思って、皆が見てる方向に目を向けた。



あれ?

校門?


……あ、誰かいる。



って、























蓮君?












校門に立っていたのは、昨日見た顔。

服装が制服に変わってるだけ。




え、何でここに?




え、騒ぎの原因蓮君?


何で?






いやいや、それより大事なのは……




蓮君は絶対私を待ってた=一緒に帰る!



自分の推測に、ゾワリと鳥肌が立つ。




ぜ、絶対絶対!

あそこに行きたくなーい!!(汗)





パニックする頭をどうにか落ち着かせて、目の前に立ち塞がる障害から逃れる術を必死に探す。



じっくり様子を伺ってみると

幸い蓮君はまだ私に気づいてないみたい…




よし!

ここは、逃げるが勝ちっ!


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