お子ちゃま☆彼氏


「海里…、ここは?」

「ここはね。『秘密の中庭』なんだ。限られたお客様しか利用出来ない。VIPって意味じゃないよ。記念日にホテルを利用されたお客様とか、2人だけで結婚式を挙げたいカップルとか…。ホテル側から声を掛けられた特別のお客様しか入れない、そんな秘密の中庭なんだ」

「何で私達が?」

「何でだろうね。それは内緒だよ」

「え?内緒なの?」

「そんな顔してもダメだよ。オレの企業秘密」

海里はきっとこれ以上は教えてくれないんだろうな。私は聞くのを諦めた。

「夢ちゃん、こっち、こっち」

海里は私を引っ張る。

連れて行かれた先は、このお庭のシンボル、小さなチャペルの前だった。

「夢ちゃんとまた来れますように」

そんな言葉と共に海里は私に優しいキスを落とした。

まだ知り合ってたった1ヶ月だけど、その時私も強くそう願ったんだよ。

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