お子ちゃま☆彼氏


「私、バカみたいだな」

ポツリと独り言が出る。足元のアスファルトが歪んで見える。

私はあの後、微かに残った理性と意地で平静を装い、ちゃんと郵便屋さん業務をこなして、今は帰社すべくトボトボと真っ昼間のオフィス街を歩いていた。

顔なんてあげられないよ。きっとひどい顔してる。

海里は何も知らないお子ちゃまだと思ってた。私が面倒見ないと何も出来ないんだと勝手に思ってた。

確かに身元不明なヤツだけど、自分と同じ庶民だと思ってたのに…。

じゃあ、何であのおんぼろアパートに引っ越して来たの?

何で私を彼女にしたの?

何で何も教えてくれなかったの?

酷いよ…
酷いよ…
ヒドイよ…

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