お子ちゃま☆彼氏


私は訳の分からないまま、土下座をする海里に駆け寄り、しがみついた。

「海里、止めて。土下座なんてやめてよー!!」

そんな私を見て、兄さんが静かに口を開いた。

「夢、オレはそんな悲しそうなお前なんか見たくないんだ。コイツが夢を泣かしたとしたらオレは許さない」

「兄さん!! もういいの。もういいのぉ…」

だって海里の幸せを願うんだって決めたんだもん。決めたんだ。決めたんだから…。

でも何でかな? しがみついた海里の体を離したくないって思っちゃう。諦めなくちゃいけないのに、涙が勝手に流れて来ちゃうよ。

やっぱり好きなんだもん。別れなくちゃいけないとしても、大好きなんだもん。

「夢。オレはお前の涙なんか見たくない。オレは少しそいつから話は聞いた。夢、ちゃんと2人で話すんだ。それでお前が出した答えならオレはそれでいい」

涙目で見上げた兄さんは、何故か優しく微笑んでいた。

「桜川さん、夢はあなたの為に昨日泣きました。オレは夢の幸せだけを望んでいるんだ。もう泣かしたら許さないですよ」

そう言って兄さんは、後ろ手に手を降って家に入って行った。

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