天使の足跡〜恋幟

半ば不安を感じさせる返事は僕のものだ。

剣崎さんが声を上げて、太陽のような笑顔で僕の肩を叩く。


「どないしたん? 何か心配ごとでもあるんか? シャキッとせえ!」

「はあ……」

「『はあ』やない! ハイ言うたらええねん! そんな悩んでると、歌えるモンも歌われんくなるぞ!」


口調は厳しく聞こえるけど、表情は優しいお兄さん。

人の心が読めるんじゃないかって思うくらい、実は僕が悩んでいたことを分かっているみたいだった。


太田によると、出会った時から『天使』の話もしたそうだ。

僕は鈍感で、太田が秘密を打ち明けてくれるまで絶対気付きもしなかったのに、剣崎さんは鈍感に見えて、結構核心に迫った発言をする。


なんだか面白い人達だな、と僕は思った。













< 19 / 88 >

この作品をシェア

pagetop