夏の名前
結局、通りすがった人に尋ね、なんとかたどり着いた。
山菜をふんだんに使った叔母さんの料理は、とても美味しかった。
でも正直、頭の中は不思議な少年のことでいっぱいだった。
―ニノ。
今まで会った人たちとはどこか違う。
またあの歌が、歌声が、聴きたい。
無駄に大人びているけど、時々見せる少年の顔に会いたい。
さっき会ったはずなのに、すごく気になった。
(明日会う時間、聞いてなかった…。)
なんて考えていたら、いつの間にか眠っていた。