月と太陽の事件簿13/アルテミスの翼
あたしははらわたが煮えくり返る思いだった。

こんな素敵な女(ひと)を泣かすなんて、どこのどいつだっ。

顔も見せずに嫌がらせを続けるなんて、絶対に許さない!

「安心して!絶対に犯人は捕まえますから!」

あたしは翼さんの手を握りしめた。

「いや実際に犯人を見つけるのは達郎兄ちゃんですし、犯人を捕まえるのは警察だと思いますけどっ!でもあたしも一生懸命やりますから!!」

具体的に何を一生懸命やるかは思い付かなかったけど、あたしは翼さんのために何かしたいという事を伝えたかった。

「そうです!僕もガンバリます!!」

横で拳を握り締めた湯月くんも、何を頑張るかは思い付いてないだろう。

でもその口調からは本気が伝わってきた。

「…ありがと」

翼さんの顔が、泣き顔から笑顔に変わった。

「二人がついててくれるなら、あたしものすごく心強いよ」

あたしと湯月くんがついてたって、どうにもならない事ぐらいは翼さんもわかっているだろう。

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