平ちゃんと期間限定なあたし。(先生と王子様と演劇部な私。スピンオフ)


 三月初めの日。


 卒業式の朝は平ちゃんが外で待っていてくれた。



「おはよ、カオリ。まだまだ寒いね」


「おはよ」


 平ちゃんはいつものように、何も言わずにあたしの鞄を持ってくれる。



「カオリの制服姿も見納めかぁ」


 平ちゃんが何度も何度も、上から下へと視線を動かす。

「ちょっと、恥ずかしいからそんなに見ないでよ」
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