今宵の月は美しい【完】
「自分で辞めたいって言わないから、ずっと言えなかったんだ。
ここは頼子に合わない。
もう無理しないで良い」

「何の話してるの!?いまそれよりも…」

子供どうしようか、考えなきゃいけないんじゃないの?

混乱している私にお構いなく、中鉢は続けた。

「子供産むのは、辞める理由になるだろ?
落ち着いたら、また別の所に行けばいいよ。
そうだ、ネイルアートの学校はどう?」

「なっ…!?産んで良いの!?」

そんなことしたら、中鉢やばくね?!

「もちろん」

「チューバチ、不味いんじゃね…?」

「俺も、先生辞めるから大丈夫」

「!?」

私は次の言葉が出なかった。

「もう手続きはしてあるんだ。
ちゃんと辞める日取りが決まったら、頼子に話すつもりだった」

「な、なんで…」

「約束しただろ?ふたりで沖縄に行こう」

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