今宵の月は美しい【完】
「…言わないでくれたんだね。ありがとう」

2度も寝てしまい、具体的に間違いでした、とはもう言いにくい。

でも学校の人にバレてしまって困るのは、私よりも中鉢で…。

迷惑かけられないから、口止めだけはしっかりしておかないと!!

「当たり前じゃん! 
言わないでって言われた事、先生勝手に言ったりしませーん」

プゥと頬を膨らませ、戸川ちゃんは怒った。

…信用してなくて、悪かった。

戸川ちゃんは、稀に見る良い大人だ…。
そうでなければ、何十年も保健の先生をやってはいない。ごくり。

「で?で?
告白でもしてみた?」

膨れていた顔をくるりと興味深々な表情に変え、戸川ちゃんは身を乗り出した。

「うーん、なんて言うか…」

もうやったとか、言ったらダメだし。

困ったなー…

「例えばさ、戸川ちゃん!
生徒の事、本気で好きになったりすることありえる?」

別の方向で、話しを進めよう。

戸川ちゃん、恋愛話は大好きだ。

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