今宵の月は美しい【完】
狭い部屋のどこにいても視界に入るダンボールを気にしない振りをしながら、私とジョニーは暇を持て余していた。

「暇だから私もお風呂入ってくる。
ダンボール、開けちゃダメだからね」

心配だ。

「フン、シルカヨ」

ほんと可愛くないインド人。

「ってか、なんでいるわけ?
自分の部屋帰れヨ!」

「日本語ワカリマセン」

「…お風呂、覗かないでよね?!」

「俺ニモ好ミガアルンデナ」

「日本語わかってるじゃん!」

信じられないよ、このガイジン。
なんでこんなのと中鉢、仲良くしてるんだろ。



部屋と同じく狭い脱衣所で、私は再び信じられないものを目撃した。

金髪のロン毛…!!

もしかして自分かと思い、サッと自分の頭にあてて見たけど、どう見ても長さが違う。

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