今宵の月は美しい【完】

※scene6『スパイシー』

C組のイケメンは、相変わらずであった。

昼休みの第一音楽準備室は厳重に施錠されているものの、今日は入口のすぐ横です。

「なんでそうかな…?
しげるん、みんなにこんなことしてるわけ?」

いつもはもっと、奥の方。

万が一鍵でも持っている人が扉を開けたとしても、すぐには見つからない物陰でやっています。

前の廊下を通る人は少ないけれど、それでもいないわけじゃない。

さっき女子二人が足早に、暗い廊下にキャーキャー言いながら、横を通って行った。

「刺激的で楽しかった!」

こんなのは、私と中鉢の秘密に比べたら大した事ないよ?

「良かったね」

なんだかこいつとは、格闘ゲームでもやっているかのようだ。

スッキリとした顔のイケメンは、もう自分の髪のほうが気になるらしい。

「なんだ頼子。
そう言うお前もニヤニヤしていたぞ」

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