今宵の月は美しい【完】
私は乱れた制服を直し、イケメンのしていたように辺りの様子を伺い、素早くこの場を後にした。



私の席は、一番後ろ。

出入口に一番近いところを、席替えの時にクラスで一番大人しい陣野さんに変わって貰いました。

サボりから戻ってきたときとか、つまらないから出ていくときとか、みんなに一番迷惑かけないで済むじゃない?

陣野さんは、「私、背が小さいから前の方が嬉しい」と、快く譲ってくれた。


午後の中鉢の授業は、正直眠たいです。

あの低音で読み上げる古文の教科書は、子守唄の呪文みたい。

ウトウトとしていたら、パシンと教科書で殴られた。

「体罰反対…!」

クソ、…いつもはこんな後ろまで来ないくせに、なぜ今日に限って。

見上げた中鉢は、ジロリと私を睨んだ。

「黙れ。次、読む。ここから」

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