今宵の月は美しい【完】
愕然とした私を見て、吹田さんは可笑しそうに笑った。

「よろしくね。今日からずっとここにいる」

悪夢だろ!?
これから毎晩、酒飲んだこいつに暴れられるの!?

まだこの前の痣だって、治ってないのにー…。

「これからは、仲良くしよう」

お前の仲良くは、いやらしいんだよ!

今までの事をなかったことにして、とか都合よすぎる。

「ごめん!いそぐからっ」

伸びて来た手を振り払い、私は玄関を飛び出した。

後ろから、大きな笑い声がした。

からかわれているだけなのはわかっているけど、それでも嫌。



あーあ、お父さんだって。

吹田頼子になっちゃうの?
すごい嫌。

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