今宵の月は美しい【完】
「はぁ、…ストーカーですか?」

中鉢は首を振った。

「そうは思わない。
純粋に、俺の言葉を信じてくれたんだと思う」

中鉢もロマンチストだからなぁ。

普通だったら「こえーよ!」、の世界だと思うぜ。

「どうしたの?それで」

「酷いだろ。
彼女の名前も覚えていなかった」

「うわ、ショックぅ…」

「うん、ショック受けてた。
可愛い子だったから、俺があんなこと言わなければ、彼氏でも出来たりして、違う3年間だったと思うんだよね」

街灯の少ない道。

月光の元、中鉢は告解中の清い信者みたいだ。

それを聞く神父が私とか、…相当間違っていますって。

「だからあんまり迂闊なこと、生徒には言えないと思ってる。
君は冗談だと思ってるかもしれないけど、頼子に言った事は全部本気だよ」

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