私だけの王子さま


今、何て?


「品…定め?」


寒いわけではないのに、唇が震えているのが分かる。


委員長が、アキラの仲間だった?

一緒に…女の子の品定めをしていた?


そんなの、信じられるわけがない。


きっとアキラの作り話…。


「嘘…でしょ?」

私は、アキラにすがり付くように言った。


でも…。



「…嘘じゃねぇよ。
見ただろ?さっきのアイツの真っ青な表情」


「…」


言葉が出なかった。

頭の中が迷路のようにごちゃごちゃで、なかなかゴールに辿り着くことができない。


今の私は、分かれ道の前に立っている。


一つは、このままアキラの言うことを信じる道。


そして、もう一つは…。


私はアキラの方をチラッと見た。


その左手には、委員長の帽子が握られたままになっている。



…もう一つは?



そこまで考えた時、頭に浮かんで来たのは、今日の花梨さんの言葉だった。




‘支えてあげて?雪也くんのこと’




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