私だけの王子さま



その日、家に帰ったのは、夕食の時間を過ぎてからだった。


頭では分かっていても、ずっとあの部屋にいれば、本多さんが帰ってくるような気がして、なかなか出られなかったのだ。


リビングに行くと、母親が担任から何度も電話があったことを教えてくれた。


理由を問われたけれど、適当に誤魔化して、ろくに夕食も摂らずに、私は自分の部屋へと向かった。



パタンッ――…


ドアを閉めると、月の明かりだけが室内を照らす。


何となく、このままでもいいような気がして、私はベッドに腰を下ろした。



しばらくしてから、隣に置いてある鞄に手をかける。

中にあるのは、本多さんからの最後の贈り物。



ついに、それを見る時が来たのだ。



私は、紙袋を取り出した後、大きく息を吐いた。



そして、中を見ると…


そこには、一通の手紙と、手のひらサイズの箱が入っている。



この時の私は、本多さんからのその贈り物が、私を突き動かすきっかけになるとは、全く思っていなかった――…。





< 195 / 220 >

この作品をシェア

pagetop