Monsoon Town
「相変わらずゆるいよな、この会社って」

そう言ったのは、金田英次である。

掲示板の前は人だかりができていた。

それに貼ってあるプリントは、来週にある2泊3日の夏の社員旅行のお知らせである。

「何でもありって感じだわ」

金田の隣にいた新垣七海が共感するように首を縦に振ってうなずいた。

「事務員と食堂のおばちゃんを含む社員全員はいいとして、家族も連れてきていいなんて」

「社長も社長で太っ腹だな」

金田と七海はうんうんと、首を縦に振ってうなずいた。

「今年は山か」

掲示板を見た若宮が呟いた。

「すごい会社よね、社員旅行があるなんて」

そう言ったのは、若宮の妻の美羽である。
< 192 / 433 >

この作品をシェア

pagetop