Monsoon Town
――彼女を奪われるかも知れない

家族も友人もおらず、日高にとってひまわりが唯一の仲間だった。

いつしかそれが、彼を支配し始めた。

そして、その不安が形となって現れてしまった。

「――なあ、藤堂」

全てを読み終えた陣内は、藤堂に話しかけた。

「俺も間違ってたら、彼と同じような人生を送っていたかも知れない」

そう言った陣内の声は、暗かった。

母親に捨てられて、父親にも死なれて、陣内は寂しい子供時代を送ってきた。

よくよく考えてみれば、それは日高に共通していた。

でも、
「それはない」

藤堂は首を横に振って返事をした。
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