赤ずきんちゃんと狼くん-結婚編-
結婚


目が覚めたとき、わたしは見覚えのある部屋のベッドにいた。


どうして、ここに‥?
花畑にいたはずなのに。



不思議に思い、この部屋の主を探そうと起き上がろうとしたとき、わたしは横からのびてきた手によって、再びベッドに戻ることになった。

驚きを隠せないまま横を見ると、頭に茶色い耳がついている゙彼"がいた。



「おはよう。よく眠れた?」



まるで自分の家かのように話す口ぶりの彼は、相変わらずにこにこしている。



「な、なぜあなたがおばあちゃんの家に‥?」



裏返った声で彼に聞くと、わたしは力強く抱きしめられた。



「離してくださいっ」



わたしは彼の腕のなかから逃れるために無理矢理体をよじったけれど、彼は逃れることを許してはくれなかった。




「逃がさないって言ったでしょ?」



わたしを抱きしめる力が更に強くなり、苦しくなる。



「そんなに‥、僕が嫌いですか?」



初めて聞いた彼の覇気のない言葉に驚き、思わず顔を上げた。
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