空っぽのfifteen
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15歳。
中学3年。
受験生。

そう、あたしは【進路】というものを決めなければならない。

この不景気真っ只中な御時世。
大学を卒業したって、まともに就職できないというのに『せめて高校くらいは卒業しないと』と言う担任の言葉の意味が分からない。

明美に『最終学歴は?』と尋ねると『小学校』と笑いながら答える。

尋常小学校の時代に生まれ育ったわけじゃあるまいし。
そんなことがあるわけがない!

そうムキになるアタシに明美は『中学に上がってから、まともに学校に行ったことがない』と、不良中学生であることをアピールするかのように答えたのかと思ったが、明美もまた、決して幸せな生い立ちではなかったことを打ち明けた。


明美はなんと!6人兄弟の長女で、必死に働かなければ、弟たちが暮らしていくことができなかったのだと言う。

貧乏子沢山とはまさにこのことで、明美は来る日も来る日も、決して【賃金】とは言い難い安いお金で雇われていたのだと言う。

まぁ本来、労働者に値しない中学生を雇うわけだから、高い賃金を与えてしまえば、雇い主が法に問われる。
だから、賃金が安ければ【小遣い】という名目で逃げ切れるのだ。
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