【短】君想い
ただひとひらの想い
ガチャリ―…
『行ってきまーす!!』
「気をつけてね~」
私はお母さんの声を聞きながら家を出た。
向かうのは隣の家。
私は毎朝幼なじみの藤原純(フジワラジュン)を迎えに行くのが日課になっている。
ピンポーン!
「はぁい?」
『あ!おばさんおはよう!!蒼依(アオイ)です!!純迎えに来たよ~』
「あぁ!いつもありがとーね!!…ほら純!行きなさい!」
「…痛ぇよ!分かってるって!!行ってくる」
扉を開けて出て来た純はパタパタと走って来て笑った。
「おはよー蒼依!いつもわりぃな!!」
『もぉーほんとに悪いと思ってる?』
私が横目で見ると、両手を顔の前で合わせて笑っていた。
ずるいよ、、こんな笑顔見せられたら許すしかないじゃん。
こんな…私の大好きな笑顔見せられたらさ。
でもね、この気持ちは届かない、、
だって純は…
クラスメートの凛ちゃんが好きだから。
ある朝、いつもみたいに一緒に何気なくあるいていたら急に言われた―。
協力してって相談された時、ほんとに泣きそうだった。
でも、純があまりに顔を赤くして言うから、、恥ずかしそうに笑う純の顔を見てると…大好きだって痛いぐらいに伝わってきた。
片想いの辛さは知ってるから、、気持ちが届かないのは悲しいって知ってるから…
私は自分の気持ちを押し殺して、純に笑顔を向けて言った
『協力してあげるね!!』
って。