雨の降る街
夕方、影伸ばし

「ハァ…お待たせ!」

息を切らせて、彼が戻った。

私の傘を持って。


「ありがとう、わざわざゴメンね。」

眉を下げ、小首を傾げて、そう口にすると。

「いいよ、…でも、ちょっと休憩。あっちの公園で休んでいい?時間、大丈夫?」

と、門限まで気にしてくれる。


彼は以前から、すごく気が回る人だ。

こういう、些細な気遣いは嬉しい。

こんな彼だからこそ、今まで、たいした喧嘩もせず、やってこれたのだろう。


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