運命の糸
【捕らわれの糸ー2】



着いた頃には
ギリギリセーフ。






息を切らしながら
祐平は席に着いた。






「稲葉君…
陸上部入りなよ…」






後ろで
昨日のデートを済ませ、

朝から余裕な登校の
朋樹が答えた。







「おお…そうするかな…

もうウチら三年だけど…」







息を整らせながら、
教卓の方を見つめた。






今日も小島先生が
出席の黒ノートを
持っている。




やはり言われた通り、
ヒゲティーは
午後じゃないと
来ないらしい。







「踝君!踝君!
ちゃんと返事しなさい!」








今日は朝から螢の姿も
あった。

出席に返事をしない
小島先生が
螢に食いかかってる。







螢は机に寝そべり、
寝ているようだ。







「踝君!!!」







すると、
寝ぼけているのか
螢はボソリと声を出した







「……うるせえな…

今麗花の夢を見てんだ…
邪魔するな…」







クラスの生徒達が
凍りつく。

今起こしたらマズいと
察知した
クラスの委員長は、
手をあげて答えた。






「先生!
後で起こします!

責任もって
しっかり
注意しますので!」






そう言っといて、
モチロン起こす気も
注意する気もない。






「ちゃんと
言っとくのよ。

じゃあ次、佐藤君…」







先生はまた普通に
出欠を取り始めた。







そんな先生にまで
楯突くような
恐ろしい男を見て

祐平と朋樹は
気が気じゃなかった
< 26 / 149 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop