【完】甘いカラダ苦いココロ

真夏の夜のさよなら


 二週間の本社出張は無事に終わり、昨日の午後には帰ってきた。今日はお休み。七月下旬の過酷な暑さを避け、日中は部屋の掃除をしてクーラーの効いた部屋で過ごした。

 あの日から翔梧とはまだ会っていない。明日会おう。そう考えていた。

 午後七時半――。もうすぐ約束の時間。蒸し暑い夜空を見上げた。ずっと天気が良かったのに今夜は雲行きが怪しい。どんよりとした、重そうな黒い雲が空を覆っている。
  
「ごめん、待った? 」
 早足に、その人は店に入ってきた。
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