【完】甘いカラダ苦いココロ
時計はもう午後六時半を指していた。早番は七時まで。
商品を片付けたり、磨いたり、店の様子を見ながら遅番の子への引き継ぎの準備をする。
店内を見回してると、なんとなく落ち着かない様子の女子高生が目に入った。
白いシャツに赤と紺のストライプのネクタイ。その上にベージュのVネックのニットを着ている。スカートは赤と紺のタータンチェック。
この辺りでは結構偏差値の高い進学校の制服だ。
胸元まである茶色がかった髪が丁寧に巻かれている。肩からかけた革のバックの持ち手をぎゅっと握りしめていた。アクセサリーを選びにきた雰囲気ではなかったけど目が合って、声をかける。
「何かお探しですか?」
近づくと、彼女は少し迷ってから口を開いた。
「『さや』さんって人、ここにいますか?」