夏の夢・夏の香り・私のトナリ
「メルお姉ちゃん…怪我してる」


そうだ、言われてから気づいた…
昨日の夜、頭をぶつけたんだ…。


スルリと私の傍から離れると、何処かに行ってしまった…。


しばらくすると、スイメは母の手を引っ張って、部屋に戻ってきた。

「スイメから聞いて、驚いたわ…メルちゃん、怪我してるんですって?」


慌てて救急箱から、消毒液とガーゼなどを取り出す。

「少し我慢してね……」
消毒液を額に付ける。


でも、どうしてこんな怪我を…
母が呟くと同時に、私は答えた。

「自分で頭を叩きつけた…あの壁で」
ゆっくりと指を指す方向には、まだ血がベットリと残されている。


母は、顔を真っ青にして…そして呟いた。「……そんなことまでして…」


「…自分が決めたことだから」


もう、後戻りなんか出来ないわ…



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