沈黙の天使
第10章 明かされる真実
「ちょっと耳貸せ」

監視の目が途絶える事なく続く毎日。ミアがケイを想う気持ちは変わらず、ケイがミアを想う気持ちも変わらない。

ケイが天使になりたいと言った気持ちに揺らぎはなく、むしろ強くなっていた。

「悪魔が天使になる方法を見つけた」

耳元で囁くように喋るその台詞に、咄嗟の反応で振り向くミア。ミアもまたケイの夢を叶えてあげたい一心で、人目を避けながら情報を集めていた。

「悪魔が天使と結ばれること。それで俺は天使になれる」
「そんなっ」

驚きを見せるミアに不思議がるケイ。

「どうした?そんなに驚く事か?むしろ喜んでくれよ」
「だって、それは悪魔を呪う方法だって聞いたわ」

暫く無言になる二人。夢を叶えてあげたいが、最愛の人を呪うわけにはいかない。

「呪いってのが、悪魔を天使にすることなんだよ。普通、悪魔にとって自分が天使にされるなんて考えるだけでも嫌だからな」

「そんな単純なものかしら…?」

不安がるミアの気持ちをよそに予定を立てるケイ。

「数日後の夜遅い時間、普段よりも監視の目が減るらしいんだ。俺達が会ってる時間なんて一日の中で少しだけだろう?しかも毎日同じ時間。
だからそれ以外の時間の監視が弱まる。それに、その日は長達が集まってぐんと人手が減る。その日の夜、抜け出してくる事は出来るか?」

出来るけれど…と呟くミアだが、その表情から不安の色が消える気配はない。
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