沈黙の天使
「黒い…。何故だ?何故黒いままだ?こんなにもミアを愛してこんなにもミアに愛をもらったのに、天使の羽根にはなったが…何故黒いままなんだ?!」
幾度となく羽根を引き寄せ少しでも白い部分がないか確かめる。
だが、どこもかしこも黒く染まっている。
ケイの羽根が輝いたことで、数人の天使や悪魔が目を覚ましてしまった。何事かと近付いて来た彼等に気付くこともなく愕然とし続けるケイをミアはただ寄り添い見守るしかなかった。
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天使と悪魔双方から非難の声が上がることに何の疑いもなかったが、よもや悪魔界から追放されるとは思ってもいなかった。
「悪魔の羽根を持たないお前は我々の仲間ではない」
天使界からもあなたは天使ではないと拒絶された。
ミアはこれ以上悪魔と関わるなと強制的に連れ去られてしまった。
ただ一人で幾年もの間を、狭間で過ごすしかなかった。食欲も無くなり食べ物を口にしなくなってからどれ程の時が過ぎたかも判らない。
時たまケイの母親が様子を見に来たがなにかをケイに与えることは許されていなかった。
「ケイ。ものを食べなくなってどれくらい経っていると思う?」
母親の言葉に返事をする気もない。軽く首を降って終わった。
「もう五十年近くなるのよ。それなのにあなたは生きている。あなたは呪われたのよ、ケイ。あの女にあなたは呪われたのよ!」
「ミアを悪くいうのはやめろ!」
「だってあなたは死ねないのよ!あの女のせいでっ!何千年も何億年も!あなたは一人で生き続けなければいけないのよっ!」
発狂する母親に何も言えないケイ。軽くしか考えていなかった。天使になることが呪いだと思い込んでいた。自分の都合のよい方向にしか考えていなかったのだ。
今思えばそんな訳がない。
悪魔が天使になれるわけがないのだ。
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