葵街学園記
暴言×暴力
それは、異様な光景だった。



私立葵街学園の第二校舎屋上。
生徒は勉学に勤しむ授業中の為、人気は無く閑散としていた。
木の芽時にもならぬ二月上旬。吹き抜ける風は未だ冷たく、少女は軽くぶるり、と体を震わせた。


少女自体は何の変哲も無い少女である。普通に学園のセーラー服を着て、普通に立っている。
異様なのは、彼女ではなく彼女と向かい合うもう一人の少女だった。
すらりと伸びた手足は健康的であるとは言い難い程に白く、白磁の人形めいている。
顎のラインに切り揃えられ、おかっぱのような髪型は彼女の顔立ちを引き立てていた。
人形よりも人形のように整った顔立ち――。
そんな少女は、着物を身に纏い、古ぼけた唐傘を差している。
学校の屋上にあってその装いは場違いにも程があった。




着物の少女は、目の前に立つ少女を一瞥したのち、綺麗に作り物めいた口を笑ませた。


「君は誰かな?こんな時間にこんなところにいるなんととんだ池沼のようだな。
早く病院に帰ったらどうだね?
汚泥のごとく糞尿めいた君にはそのような所がお似合いだと思うがね。
あぁ、それとも違う星からおいでなすったガイキチかな?
嫌だね嫌だね、もう二月か、蛆虫が沸いてくる時期だ」
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