中途半端なオトコマエ!
そうそう、その「お泊まり愛」時代に、こんなことがあった。

思い出す度、血圧がぐっと上がる恐怖の体験だ。

ある夜、ルミが店に出ている時、部屋でルミの帰りを待ちながらソファでうとうとしていたのだ。

すると、突然、腹に鈍い痛みを感じた。

はっとして目を開けると、男が立っていた。

「てめえー」男は拳を振り上げた。

「ひええええー」たぶん声はでなかったろうが、心の中でそう叫んでいた。

オレは、ソファから落ち、床を転がって、一目散に逃げ出した。

アイドル時代にやったダンスレッスンが役に立った。

「二度と来るな!」という男の怒鳴り声が、しばらく耳から離れなかった。

あとでわかったのだが、ルミには、「その筋」のオトコがいたのだ。

ルミとは、それっきりだった。




< 40 / 70 >

この作品をシェア

pagetop