ユータナジー

時々、怖くなる。


彼女は生に捕らわれながら、死に恋い焦がれいるから。

もし、生が彼女を手放してしまったら。


彼女からは全てが消えるんじゃないかって。


表情も。
雰囲気も。
馬鹿な言動も。

温もりですら。


すぐにでも彼女から消えてしまいそう。


「多分。」

「頑張ってください。私は合格祈願のお守りを買ってきます。」

「お前が買ってどうすんだよ。」

「あ…カバンにつけるんです。」

「誰の為に買うんだよ。」

「勿論、先輩の為ですよ?」



その声に感情が入ってこない。




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