bitter sweet
Ⅳ.embarrassment
 ∞ 雪和 side ∞


「ん~……どんなケーキがエエかなぁ……」

 和紗と約束した日が間近に迫った日曜日。 私はベッドに寝転がりながら、お菓子のレシピ本を眺めている。

 初めはケーキを予約しようかと思ったけど、店のディスプレイに並ぶほとんどのケーキはクリスマスを前提としてあって、予約する気にはなれなかった。

「あ、これ……」

 あるページに手が止まる。“ココアシフォンケーキ”――うん。これなら、あんまりクリスマスっぽくないかな。和紗ココア好きだし、いいかも。

「喜ぶかなあ、和紗」

 ……キス未遂事件から私は和紗の顔をまともに見れてない。なんで突然あんな事、したのかな……。まさか和紗、私の事――……?ううんッ、またいつもの悪ふざけかもしれない……。期待しちゃだめッ!

 でも……マコトさん帰って来なかったら私達……しちゃってたよね、キス。

「思わず突き飛ばしてもうたけど……怒ってへんかな」

 しかもタイミング悪い事に、期末の成績が良くなかった和紗は、毎日居残りで補習を受けてるし。一応、受験生なんだから仕方ない事だけど……和紗と会える時間が減ったのは、やっぱり寂しいな。


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