プロローグ

その日は、いつもと同じ

繰り返しの中の一日だった。

音楽をかけながら、
珈琲をたて、どの映画を見るかDVDを品定めする。

三十路なのに結婚もせず
一人暮し。

彼氏もいない。

そこそこお金もあって困ってはいない。


仕事に追われながらも
好きな物を食べ、
好きな事をしながら過ごす

典型的なひとりぼっちだ…

苦笑いしながらも、
今の生活を気に入っている

少し特殊な仕事のせいか、
自宅兼仕事場の
この部屋からあまり出る事はない。

友人は、こまめに連絡をくれ、そのたびに外の世界へ連れ出そうとする。


ここ最近は、
「いい男がいるから紹介する」攻撃が頻繁に繰り出される。

のらりくらりと防御してきたが、そろそろ断る言い訳も効力を失いつつある‥

気遣ってくれる友人に悪いと思いながらも全くその気にならない。




そう…

あの時から私は壊れたままだ。



意識がトリップしかけた頃、鼻にイイ香りが届いた。

あの液体を流し込めば、この頭を支配しつつある思考も切り替わり、久しぶりの休みをゆっくり過ごせるだろう…








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