スピカ



公園で、
美雨さんと別れてから
数週間たった。




あの日から…


時間が止まっている気がする。


なにもかもが、


色褪せて見えるんだ…






ため息を付き、
ボーッと店内を見回す。



ここには好きな物が

たくさんある。



店長になってから、
何年たったのだろう?


少しだけ、
昔を思い出した。





店長と言っても、
自分一人しか居ない
小さな店だ。



兄の様に慕う
憲二さんが経営している。



この雑貨屋に、
数年前連れてこられて…


「今日からこの店、光に任せる。

よっ!店長!」



…ってな具合に、
突然店長になったなー。




あの頃の俺は…




信頼していた
仕事仲間に裏切られ…



長く付き合っていた
彼女にも……



ボロボロだった。



会社も辞めて、

人を信じる事が、
出来なくなっていた…


そんな時、
何かと目を掛けていてくれた憲二さんに拾われた。



憲二さんには頭が上がらない。




今では、
唯一信頼している大人だ。








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