第3章

かすかな温度

美雨side




あれから数週間たった。


忘れようとしたはずの
感情が…


微かな温度で、
まだ残っている。



あの日から…

何をしても…

なんだか色褪せて見える。


(♪〜♪〜)


鳴り止まない携帯の着信に出るか迷ったが、
表示されている名前に
おもわず微笑んだ。


『はい』


「美雨〜!元気ー?!」


『ん、由美ちゃんは?』


「元気よー…

どうした?元気ないなぁ?」


『…別にぃ〜…』


「ありゃ?

こりゃ何かあるね!
今から出ておいで!
近くにいるからランチしよ!
公園の近くのカフェで待ってるから!」

(ツーツー)


『切れちゃった…』




公園には…

近付きたくないなぁ…


でも、久しぶりに
由美ちゃんに会いたいし…




あいかわらず、
由美ちゃんの勘は鋭い。


見抜かれてしまった…


きっと質問攻撃が、
待っているんだろう…。




由美ちゃんは年上だが、

昔から可愛がってくれている。


通訳の仕事をしていた時の
先輩であり、

姉の様な、友達の様な…


うまく説明出来ないほど、
自分の近くに存在している。



由美ちゃんはステキな人だ。

綺麗で、仕事が出来て、

ちょっと変わっているが

カッコイイ彼氏もいる。




何度…




由美ちゃんと、
彼氏の憲ちゃんに
助けられただろう?




あの事を知っている

良き理解者だ。





「あれからもう五年か…」










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