第1章

公園


その青は、

私をいつもとは違う行動に導いた。


この青の下を

歩いてみたくなった。


戸惑いながらも、
少しドキドキしている自分がいる…


こんな感覚は久しぶりだ。


勢いにまかせて外に出たものの、
特に行きたい場所もなく、
どうしたらいいのか分からない…



「とにかく歩いてみよう」


目的もなく歩くこと自体 どれくらいぶりだろう?


しばらくすると、見覚えのある公園にたどり着いた。



静かな園内を歩いていると
向こうから一匹の犬が駆け寄ってくる…


「あれ…?」


前にも似た事があった…


自分の中で瞬時に記憶を辿る。


犬が近づいて来るのと

同調しながら鮮明に思い出した。



一年近く前にも同じ事があった。


あの日も今と同じ様に‥


「もしかして…」


元気良く犬が飛びついてきた。


「やっぱり!!
たしか名前は…
ターボくん!」


ワシャワシャと撫でてやる
あの時も、なぜか良くなついてくれた。


ターボくんに夢中になっていると、ふと影が差した。


確か…
お母さんの名前はミユキさん…

心の中で確認する


「お久しぶりです。ミユキさん」


顔を上げると、
この眼に映ったのはミユキさんではなかった‥


そう認識するのと同時に


すべてが止まった気がした


時間も


音も


風も



何もかも…






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