年下の君に愛されて、、、【長編】




『ねぇ~帰らないの?』


鞄を片手に持ち、
不思議そうに私を覗きこむ亜優花。

慌てて私も鞄を持ち、
亜優花と一緒に教室をでた。


帰り道、

亜優花が一方的に話をしてて、
私はただ聞いてただけだった。



考えてたのは悟のこと。

私を好きだと言った
あの時の悟の切ない目。


悲しい目が頭に焼き付いて
離れない。


どんな想いで悟は私に
好きだと言ったの…?





『優衣…。何かあったんでしょ?』



へ…?

駅前で亜優花が
立ち止まったことに気づかなくて、
先を歩いてた私はその言葉に振り返った。



『言えるようになったら教えてね?頼りにならないけど…』



私を見て、
せつなそうにニコッと笑った。

っ……。

その言葉に
溜まっていた涙が少し流れて、

“うん”

と頷いた。


私のことを考えて、
気づかってくれる亜優花に

知らない間にそんなこと
思わせてたんだと、初めて分かった。




< 21 / 230 >

この作品をシェア

pagetop