青いリスト

空白の時間

まだ血は赤かった…
[あなたは人間ですよ]と言わないばかりに、真っ赤な血液が吹き出している。
それはすぐに乾き、滑稽な傷後だけを残す。
リストバンドが手放せなくなった…
傷だらけの手首を見せながら生きていける強さもなかった。
というより、必ず人々は哀れみや偽善的な言葉で見つけた事を伝える。
[大丈夫?]
その顔は、ため息を目の前で吐かれたように私の胸を締め付ける。
[本当は笑ってるんでしょ?]
こう答えると[素直じゃないね]と、決まったように鼻で笑う。
その一言で、私の存在が全て否定されたような気持ちになる。
私は何と答えたら相手が納得するのか?
そもそも相手に納得してもらう為に、私は生きているのではない。
だが、他人と折り合いのつかない現実が、私の傷口を広げているのが現実だ。
現実は直視出来ない…
私の欠けている部分が現実にあるからだ。
私は大声で叫んだ…
[違う…現実から逃げているわけじゃないんだ]と…
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