ブルー・フィールド

県予選二日目

 
『ストップ! ザ! シーズン〜〜』

 うう? まだ梅雨だってのに、夏の歌とか着うたにしてんの誰だよ?

 あ、俺か。

 携帯を手に取ると、ディスプレイには『寺尾由美』の文字。

 さすがに寝たふりはできないから、通話ボタンを押す。

『浅野君、起きてる?』

 寺尾の声を聞きながら時計に目をやると……5時か。

 さすがにもう起きないと、間に合わないよな。

「おはよ。さすがに寺尾は早いな」

『おはよ。いくら眠いからって、二度寝しちゃダメだからね〜』

「寺尾に起こしてもらって、それはしないな」

 てか、見透かされてる様なんだが。

『ホントに? とりあえず、また後でね』

「ああ、分かった。寺尾も準備にかかってくれ」

 さと、と。

 昨夜は11時くらいに寝たから、ちょっと寝不足かな?

 でも今日の出番は、一番最後のメドレーリレーだけだからな。

 それでも早く行かなきゃならない、部活動の宿命だ。

 多少の寝不足でも、リレーの時間になれば、身体は大丈夫だろう。

 一番眠たくなる、夕方近くではあるけどね。

 朝食は昨日と同じで朝マック。

 というか、さすがにこの時間に親は起きないし、起こせない。

 だから物音を立てないように、静かに顔を洗って、ジャージに着替える。

 少々早いが、途中でコンビニ寄ればいい時間になるだろう、と家を出発した。

 昨日と同じコンビニで立ち読み。

 日曜日は雑誌発売がないから、取り立てて読む本もない。

 単行本を手に取ろうか、としたが辞めた。

 ついつい読み耽ってしまい、遅刻する可能性が高い。

 パラパラとテレビガイド誌を見たりしながら、適当な時間を見計らい、買い物をして店を出た。

 ポツポツと大会に行く水泳部員であろう姿を見付けながら、昨日同様マックに着いたのは6時ジャスト。

 あれ? そういえば待ち合わせ時間は6時30分だっけ?
 
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