ブルー・フィールド

オリエンテーリング

 
 翌日、別に二日酔いになるほど軟弱者じゃないから、普段通りに起きる。

 兄北田や井上先輩は既に起きているが、村山はまだへばっている。

「一旦帰りますか?」

 制服はいいにしろ、下に着る服は着替えたいが。

「俺らはええけど、浅野らはやばいんちゃうか?」

 たしかに時間的にはギリギリだろうけど、間に合わない事もない。

 と、へたばっている村山が

「今日はオリエンテーリングの日だよ」

と教えてくれたが。

「集合時間、早いのか?」



 結局、俺と村山は昨日の服のままで学校へ行く事に。

「寺尾達も着替えてないのか?」

 学校へと向かう電車の中、向かい合う寺尾に聞いてみた。

「まさかぁ。服は先輩のを借りたよ」

 ですよね。さすがに女の子が、二日連続で同じ服を着ないよね。

「しかし、瀬戸先輩の服では大きすぎるんじゃないか?」

 瀬戸先輩は身長は人並み、160cm程度だし、体格的にも、スタイルは良い。

 当然、ちびっ子の寺尾やあーちゃんには大きすぎるだろうし、大型の妹北田には小さいだろう。

「そ、そんな事ないもん!」

 何をそんなにムキになっているんだ?

 と、何やら胸の辺りを意識している、かな。

「まああれだ。その内、成長するさ」

と微妙な言い回しで、何が、と特定せずに慰めてみたが、

「浅野君は、やっぱり大きい方が好き?」

と、寺尾も微妙な言い回しで聞いてくる。

 朝の電車の中でする会話とすれば、身長の話にしておかないとマズイよな。

「まあ俺からすればだいたいの女の子はちびっ子だから、大して気にしないが」

 170cmある妹北田でも、頭頂部が俺の視線くらいか。

 ただ俺は猫背だし、実際はもっと下が目の位置になるが。

「え? あ、そ、そうだよね。浅野君、身長高いもんね」

 この動揺の仕方、やはり胸を気にしてるんだろうな。

 そういえばこの前身体測定があったが、どうだったんだろ?

 さすがにそれは聞けないけど。
 
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