公認ストーカー
「…紀田さん、あいつ放っといていいんスか? だってあいつ、めちゃくちゃ紀田さんのことガン見してるっすよ?」
「そうだな。別に俺は構わねぇけど」
「いいんすか!? ジロジロ見られて不快だと思うんスけど…」
「好きな奴にならそうでもない」
食べ終わったパンのナイロンを、くしゃくしゃに丸めて、すぐ隣のゴミ箱へ放り込む。
立ちあがると、真ん前で固まっている山原が目に入る。
「あぁ、言っておくが山原…有香は俺が好きらしいぞ。残念だったな」
「なッ…!?」
ストーカー少女が甘い言葉を頂けるのは、もう少し先の様で。
