ねぇ、笑って。

千鶴の姉貴はこの部屋の中にはいなかった。


千鶴の両親も。


まだ誰もこの事実を受け止められないでいた。




千鶴の死という現実を誰一人として。





ここにきてようやく俺の瞳から涙があふれた。



俺は拭うことをしない。


千鶴の手を握ったまま動けなかった。

 
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