SEASONS

素直になれたら


────
──────……




「そろそろ行くよ」

「うん」


小さな旅行カバンを持ったお父さんにそう声をかけられた時、タイミング良くホームに電車が滑り込んできた。

ほとんどの荷物はもう向こうに運んである。




「──……」


誰かに呼ばれたような気がして振り返った。


「どうかしたの?」

「あ、ううん」



突然振り返ったあたしをお母さんが不思議そうに見た。


ホームを見渡してみても、知っている人とか誰かを探してるような人はいなかった。



気のせいだと思って前に向き直った時、ホームに到着した電車のドアが開いた。



お父さんの次にお母さんが乗り込む。



「……」
< 291 / 304 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop