いつわり彼氏は最強ヤンキー[完]
いかんいかん。

ブンブンと頭を振り、久世玲人のことを振り払おうとした。


さっきから、考えるのは久世玲人のことばかりだ。

……ていうか、私の頭を悩ませるのはそれしかない。


しかし、いくら振り払おうとしても、久世玲人は頭に居座ったまま。


はぁ、と無意識にため息が出る。


あの時……サエコに詰め寄られていた時、てっきり私は久世玲人が勢いに任せてサエコを叱咤するのだと思っていた。

しかし、実際は…。

久世玲人は困ったような顔をしながらも、サエコの手を引き、二人で一緒に教室から出て行った。


まるで、私が取り残されたみたいだ…。


どうしてこんなに気にかかるのか自分でも分からないけど、あの光景を思い出すと、心の中がモヤモヤする。


今までの久世玲人の様子を見ても、サエコを突き放しているようにしか見えなかった。

……いや、待てよ。

なんだかんだ言っても、サエコは目鼻立ちがはっきりとした美人だ。スタイルもよくて色気もある。

私の前じゃキーキー喚くサルみたいだけど、私なんて比べものにならないくらい「女」だ。


実は、久世玲人も内心揺らいでいるんじゃ…。

一緒にいてもつまらない私より、真っ直ぐ愛をぶつけてくるサエコに。

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