いつわり彼氏は最強ヤンキー[完]
結局、一晩中考えたところで決断することはできず、どうすればいいのか分からないまま朝を迎えた。


どうしよう…。

そればかりが頭を巡り、寝不足になってしまった。

佐山君の告白を受け入れれば、久世玲人におびやかされる毎日から解放され、私の望む穏やかな毎日が過ごせる。

頭ではそう分かっているけど、その決断ができない。決して佐山君がイヤなわけじゃなくて…。


もしかして、春奈の言うとおり、私は久世玲人のことが好きになってしまったの…?

いや、まさかそんな…。


「はあー…」

ため息を吐きながら部屋で朝の準備を進めていると、「菜都ー!」と私を呼ぶお母さんの声が聞こえてきた。


「何ー?」

ドアを開けてそれに返すと、階段を上がってくるお母さんが、私を見つけてニマーッと顔を緩ませた。


「玲人君、来たわよ」

「えっ!?」

久世玲人!?何でっ!?


………ハッ!!

そういえば、毎日来るって言ってたっけ!!

すっかり忘れていた私は、準備もそこそこ、急いで鞄を持って階段を駆け下りた。


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