いつわり彼氏は最強ヤンキー[完]
雲ひとつない晴天。

サラサラと流れる爽やかな風。

屋上に上がるとどうしても久世玲人のことを思い出してしまうけど、この心地よい空気が少しだけ気持ちよかった。


「ごめんね、帰る準備してたところ」

「ううん…、それより、話しって?」


一応訊ねてみたけど、聞かなくても分かる。

彼がこうして私の元に来るのは、久世玲人のことしかない。

それしかないけど……

でも、どんな内容……?


頭をフル回転させながら、どんなことを言われるのか考えていたら、健司がケラケラと陽気に笑った。


「そんな難しい顔しなくても」

どうやら、顔に出てたみたいだ。


「別に恐い話じゃないよ。……まぁでも、なっちゃんを困らせるかもしれない」

「……困らせる?」

あんまりいい事じゃないんだろうか…

やっぱり聞きたくない、なんてことは言えず、怪訝な顔をしていると、健司は陽気な笑みを消し、すこしマジメな顔つきになった。

そして、本題に入る。


「なっちゃん、玲人に会いに行ってくれない?」

「…………え?」

「だから、会いに行って欲しい」


………会いに?


「え?え?な、何?どういうこと?」


突然すぎて、それだけでは理解できなかった。

何?どういうことなの…?久世玲人に会いに…?


少しうろたえながら考えているけど、健司はいたって真剣な様子だった。



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