いつわり彼氏は最強ヤンキー[完]
「ケンカじゃねぇよ。一方的に来られただけだ」

「でも、相手したんでしょ?世間ではそれをケンカって言うのよ」

「俺は被害者だっての」

憮然としたまま久世玲人は答えた。

「……あんまりムチャしないほうがいいよ」

「……」

そんな微妙な会話をしながら、腕の手当ては素早く済ませた。


「久世君、傷の方はもう大丈夫だと思うから。あとは、シャツ」

「は?」

「シャツにも血が付いてるから、すぐ洗わないと。早く脱いで?」

私の言葉に、またもや久世玲人がポカンとなっている。


…何をそんなに驚いてるんだろうか。


「早く早く」と急かす私の言葉に、久世玲人は無言のままボタンに手をかけた。




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