同居から始まる恋もある!?
「おまえ、昔からそうだよ。人の気持ちに疎すぎる」
グラスの水滴がツイと垂れるのを、ぼんやりと見つめる。
律の言葉に、俺は何も反論が出来ない。
それは、事実だ。
元々、自分のことを人に話すのが苦手だったから、逆に人のことを知りたいと思うこともほとんどなかった。
だから。
過去に何人か彼女がいたこともあったけど、いつだってお互いの間には明確な距離を感じていた。
深く踏み入れないから、傷つくことも傷つけることもないはずだったのに。そんな風に考えて、俺は沢山の人の気持ちを踏みにじってきたんじゃないか。
―サチの、最後にみた泣き顔が脳裏に焼き付いて離れない。
「どうすんだよ、芹生」
「…なにが?」
「これ以上、無神経にあの家に帰ろうとか思ってないよな。いくらなんでも、彼女が可哀想だぞ」